おススメの漫画があります。
こちらの記事でも少し触れたのですが。
『1日外出録ハンチョウ』という漫画です。
ざっくりと内容を説明するとこんな感じ。
主人公の中年男性、「ハンチョウ」こと大槻太郎は普段、借金のカタに地下施設で強制労働させられています。地下施設での労働環境は劣悪で辛いものですが、救いもあります。
それは、50万ペリカ(ペリカとは地下施設で流通するお金)を貯めると、「1日外出券」と交換できるというもの。
通常50万ペリカを貯めることは簡単ではありません。並大抵の努力ではそこまで到達できないのです。ですが、ハンチョウは違います。ハンチョウはその特権を利用して、地下で莫大な財産(ペリカ)を築いているのです。
『1日外出録ハンチョウ』は、そんな「ハンチョウ」が1日外出券を使って外出し、息抜きに地上の色んな箇所を廻る様子を描いた漫画です。
主に美味しいものを食べる様子が描かれており、飯テロ漫画に分類されています。
『賭博破戒録カイジ』のハンチョウ
『1日外出録ハンチョウ』は単独で読んでも面白いのですが、より楽しむためには、絶対に『賭博破戒録カイジ』を読んだ方が良いです。
何と言ってもハンチョウは『賭博破戒録カイジ』に出て来るキャラクターであり、『1日外出録ハンチョウ』はカイジのスピンオフ漫画なのですから。
カイジとハンチョウ
『賭博破戒録カイジ』の主人公カイジもまた、帝愛グループへの借金返済のため、地下で強制労働を課せられます。その中で、カイジの所属するE班の班長こそ、ハンチョウ(本名:大槻太郎)なのです。
カイジの思惑
カイジはもちろん、1日外出券での脱出を考えています。
これは地上(シャバ)に出てギャンブルで一発逆転、借金を完済するためのお金を稼ぐことが目的です。
しかし、1ヶ月の労働の対価として支払われるのは、わずか91000ペリカのみ。ペリカは地上のお金(円)の10分の1の価値しか持たないため、実質月給9100円です。
それでも、このわずかなペリカを貯めるしか方法がないカイジ。頑張って6ヶ月で50万ペリカを貯めることを決意します。
他の労働者が欲望を我慢できず、ワゴン販売でビールやおつまみを購入する様子をバカにしつつ、強い覚悟で快楽の誘いを抑え込みます。(ちなみにワゴン販売を行っているのはハンチョウ一派、そして通常の2倍程度の価格という暴利です。)
ハンチョウの1缶のビール
そんなカイジに忍び寄る足音。カイジが振り向くと・・・、そう!
そこにはハンチョウの姿があったのです。
ハンチョウはカイジの心情に深い理解を示します。
しかし一方で、無理はしないようにと諭します。
無理しても長続きしない、と。
・・・そして。
「わしのおごりだ。金は取らねえよ………!」
そう言ってハンチョウは1缶のビール(5000ペリカ)をカイジにプレゼントします。
なんて粋な漢なんだ、ハンチョウ!
班員に気を配る。特に新しいメンバーであるハイジのことを思いやり、ケアしてあげるなんて。素晴らしいリーダーです。
ビールを飲んだカイジは、そのあまりの美味しさに感動して涙を流します。(このシーンはある界隈ではあまりにも有名)
カイジの中に芽生える甘え
ここでビールの味を思い出してしまったカイジの頭に、悪魔のささやきが。
(今日は特別な日だから少しぐらい良いんじゃないか)
そう、これこそがハンチョウの狙いでした。
カイジは我慢できず、「1本だけなら」とビールを注文してしまうのです。
ハンチョウグループの説得
しかし、話はここで終わりません。
すかさず、販売員の沼川(ハンチョウの仲間)が畳みかけます。
「ビールだけじゃ味気ないよ。」と。
空気に押されたカイジは、つまみを注文することにします。
本当は焼鳥(7000ペリカ)を食べたい気持ちをグッと抑えつつ、これ以上の散財を避けるために柿ピー小袋(500ペリカ)を注文しようとするのですが・・・
「へたっぴ」
そこに、カットインして来たのが、またも「ハンチョウ」です。
「そんなへたっぴな欲望の解放のさせ方だとストレスが溜まるだけだ。」と。
ちなみに、ハンチョウのセリフ「へたっぴ」は、『一日外出録ハンチョウ』の中でも頻繁に使われ、ハンチョウの決め台詞となっています。
贅沢してお金(ペリカ)を使うように仕向ける、ハンチョウの怒涛の説得がこちら。
カイジ、陥落・・・!
結果、カイジはこうなります。
焼き鳥だけじゃなく、ポテチや肉じゃが・チーズちくわなんかも買ってしまっています。
なんて意思の弱い・・・。でも、この無邪気なカイジが可愛すぎます。
ハンチョウの狙い
カイジが豪遊する様子を満足そうに眺め、ほくそ笑む3人組がいます。
そう、ハンチョウ一派です。(班長大槻と部下の沼川・石和)
みて下さい、この悪そうな顔と酷すぎるセリフを。
狙い通りにカイジに散財させたわけですからね。それにしても、ハンチョウチームの見事な連係プレーは、まるでオレオレ詐欺集団のようでした。
快楽を覚えてしまったカイジは、翌日も翌々日もペリカをビールに変えてしまい、気付けばスッカラカンになります。
そして金に困ったカイジに対して、ハンチョウは「給料の前貸し」という形でカイジの給料をピンハネし、さらに博打(チンチロ)を持ち掛けてカイジに勝利し、翌々月分の給料まで搾り取ってしまいますとさ・・・。
ここからカイジがどのように反逆するかは、『賭博破戒録カイジ』を読んで下さい。
ハンチョウは1巻から登場しています。
ハンチョウ達がカイジに散財させる下りは全て1巻に収録されています。
・第5話 「給与」
・第6話 「震盪」(しんとう)
・第7話 「亀裂」
・第8話 「決壊」
このあたりの面白さは神ですね。
『1日外出録ハンチョウ』のハンチョウ
『賭博破戒録カイジ』の話が非常に長くなりましたが、これを踏まえた上で、『1日外出録ハンチョウ』を読むと、面白さが格段に上がるわけです。
『賭博破戒録カイジ』を読むと、ハンチョウが普段どうやってお金(ペリカ)を貯めているかや、1日外出がどれだけありがたいことかがわかるので、作品の背景がより理解出来ます。
そして、ハンチョウ目線の話を読んでいると、不思議なことに、カイジ目線ではあれだけムカつく存在だったハンチョウが、とても人間臭く、愛しい存在に見えてくるんです。
何というか、どんな人間にもそれぞれの人生があるということ。それぞれが与えられた人生を精一杯に生きているということを実感させられますね。
『1日外出録ハンチョウ』のストーリーと試し読み
冒頭に書いた通り、『1日外出録ハンチョウ』は、1日外出券で地上に出たハンチョウの1日の過ごし方を描いた話です。
『カイジ』とは違い、基本1話完結で、ほのぼのとした内容になっています。ハンチョウが食事するシーンがメインで、どのお店に入るか、何を食べるかなどが、ハンチョウ目線で語られていきます。
ネタバレなしで語ると、第1話のあらすじはこうです。
とある日の夕方、ハンチョウ大槻は日比谷公園で解放されます。ここから「1日外出」の始まりです。その日、ハンチョウはのんびりと穏やかに過ごします。
そして翌日、ハンチョウは新橋でビジネススーツを購入し、身なりを整えます。
監視役の黒服はそれを見て、疑問に感じます。「どうせ地下に戻るのに、なぜスーツを買う必要があるのか?」と。
恐らく新橋・銀座界隈で、ドレスコードのある高級店でランチするためと推測したのですが、ハンチョウの本当の狙いは・・・。
実は『1日外出録ハンチョウ』の第1話「玉座」は1話分丸々試し読みすることが可能です。
下記の画像をクリックすると試し読みが開けますので、興味のある方はぜひご覧ください。
本当に面白いですよ!
もし開けない場合は、Amazonの「試し読み」でも読めます。
どうですか!?めっちゃ面白くないですか?
『孤独のグルメ』や『めしばな刑事タチバナ』の雰囲気が好きな人には、刺さるんじゃないかなーと思いますね。
個人的に、『1日外出録ハンチョウ』は久々の大ヒットです。ジャンルは全然違いますが、『進撃の巨人』以来かもしれません。
今後も目が離せません!!
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